きもの用語集
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あ
琉球・沖縄県古来より伝統の型染。「紅型」(びんがた)は赤を基調に多色染めであるのに対し、藍一色で染められる事からこの名が付いた。型紙、 染法は藍型・紅型とも同じである。
夏物と冬物の中間の時期に着る衣服を言い、主に単衣物(ひとえもの)の総称。
雨天時に長着(きもの)が濡れないよう着用するコート。通常は単衣に仕立てる。昔は朱子地が多かったが、現在は化学繊維または正絹に防水加工を施すことによって殆どの生地が用いられる。
解いた着物地を専用の洗剤にて洗浄し、板や伸子(しんし)にてのりづけを施し張る工程を言う。解き洗い。
二重(表地と裏地が付いた)の着物。裏地には通常一般的に男物は綿の通し裏、女物は正絹の胴裏・八掛を使用し仕立てる。反義語は単衣(ひとえ)。
長着(着物)と羽織の1対を意味するフランス語。A.Sと略する場合もあるが、英語の略ではないので本来は誤りである。
い
「意気」から転じた語。粋の字の転用。気持ちや身なりのさっぱりと垢抜けして、しかも色気を持っていること。気前よいこと。すい。人情の表裏に通じ、特に遊里・遊興に関して精通していること。 特に江戸にて好んで使われた。
着物を飾る、またはディスプレイ用の木製または硬化プラスチックの家具。長さ2.5mほどの鳥居木を台にして高さ1.8mほどの柱を左右に立て、横木を渡す。
単衣の長着に、後腰の部分に、裏側から補強や透け防止の目的で当てる布。単衣長襦袢にも応用する。
礼装用の男女長着および男物羽織に用いられる。五つ紋が最も正式で、紋の数が少なくなるほど略式。他に三つ紋、一つ紋がある。
地色が黒以外の色の留袖のことで、黒留袖と同格の正式礼装として着用されるもの。
祝い事のとき着るきもののことである。現代ではお宮参り、七・五・三、十三参り、還暦祝いなどに用いられる。
う
石川県白山地域の山嶺、牛首地方で織られる紬。釘に引っ掛けても破れないほどの強さがあるといわれることから釘抜き紬とも呼ばれる。
着物の身頃の部分で、肩山から後ろ側の名称。
背縫いから脇縫いまでの巾のこと。
乗馬の際、またぎやすく、馬上でスネを出さぬように現代のズボンのように股を作った袴のこと。袴本来の形。反義語は行燈(あんどん)。
女性物を広衿仕立にするときは袷・単衣を問わず裏衿をつける。布は胴裏地から裁ち合せる。裏衿の衿先には裾回しと同じ布をつける。 絹、化繊、木綿、麻等の平織りの布が裏衿用として市販されている。夏物には絽を使う。
古来よりある模様の名称。龍の鱗を模様化したもの。三角形が交互に入れ替わって、互いに地と模様の部分を構成する。織物や染物の模様として多く用いられてきた。厄年の女性が厄除けとして身に着ける風習があった。
部分名称で、きものを着て前を合わせた時に上になる部分。左身頃の前身の部分、上前身頃。
え
総柄ではなく、羽織の構造に沿って柄付けした羽織。女物の外出用。大正初め頃より、衿先から前身頃にかけて褄模様のように斜めに模様が置かれ、5,6年後後身頃の裾に模様が移り、数年後肩と袖に模様付けして今日の絵羽織になった。
着物の着付けを意味する。公家の装束の着付けから起こった言葉。江戸、明治時代の小袖になっても着付けの事を「衣紋を着付ける」「衣紋をつくろう」「衣紋をとる」といった。衣紋つき、衣紋風、衣紋を抜く、という言葉は衣服の着付け方をいったもの。室町時代「のけえもん」といって衿の後を深く下げてきた事から出た言葉は、現在の抜衣紋として残っている。
長襦袢の半衿に縫い付けて着付けに使用する小道具。衣紋を抜く際に生地を傷めず抜く事が出来る。また着崩れした場合にもそれだけを引っ張ることで、直す事が出来るので便利である。
お
左右の前身頃につけた半巾程の部分の名称。着物の前を合わせるのに便利なようにしたもの。小袖の発生と共につけられるようになった。
男性による仕立て及び、仕立てた着物をいう。また、男仕立の流儀で学んだ女性の仕立て士のそれも同様に男仕立てという。
長着を着る時、着丈より長い分を腰のところでたくし上げ、腰紐でしめ形を整える。このたくし上げた部分をいう。 明治中期より着丈にたくしあげて着るようになる。
袋帯・名古屋帯等の結びの仕上げに用いるもの。明治時代から現在のような帯のたれをたくし上げて形を整えるものとして用いられるようになった。礼装用には白無地に金糸入り等、喪服には黒無地を使う。
帯結びの最後に、お太鼓等の部分を固定させる紐。丸組・平組・丸ぐけ等がある。
帯を内側から補強したり、張りもたせるために中に入れる芯地のこと。明治以降帯を締める位置が高くなり、帯の胴回りがくびれないよう厚い芯地を入れた。太鼓結びには張りを必要とするため、芯地の質が重要視された。材質は主に絹・木綿・フェルト等があり、夏用・カラー芯等もある。
帯の形を整える小道具。太鼓結、文庫結など、結び方の型、年齢によって枕の高さを変えて使用する。
か
男性用帯の一種。兵児帯は一枚生地をそのまま使用するので柔らかいが、角帯は芯を入れて仕立てたもので硬くしっかりとしている。兵児帯がカジュアルなのに対し、角帯はどちらかというとフォーマル用である。
汚れに対処する、或いは補強の為に地衿の上に付ける衿。主に長着などに付ける。江戸~明治時代、女性の町人は普段着の長着に黒襦子等の掛衿を付けた。現在は共布の掛衿を付ける(共衿という)。
子供の着物(大抵13歳以下の着物)の裄を調整するため、背縫いから袖付けの間にかけて縫い揚げをとること。子供の成長に応じて、肩揚と腰揚で長期間着られるようにする為にされる。
浴衣や単衣の長着、或いは単衣の羽織等の肩の部分を補強する為、裏側に当てる布。
き
着物分の尺、つまり長着用の生地(反物)のこと。現在の標準は丈約12m以上、巾約38cm以上。
着物を着用後の背側衿下から裾までの長さ。女性物の場合、おはしょり分があるため、着丈と身丈を明確に分ける。男性用は同義語。
めでたい文様。鶴亀、宝船、宝尽くし、等。
男性が羽織・袴をつけず、長着のみの略式の着物姿。
正確には九寸名古屋帯。仕立上がりの幅は8寸2分前後だが、仕立前の寸法。→名古屋帯
く
広義で天然染料染めの意味。主に植物を煮出して染料にし、染めつけること。
昔から和裁に用いられている木製の定規のこと。現在でも一般的な和裁に用いる長さの単位。1尺は約37.87cm。
女性用の着物にのみある、衿を抜いて着るための肩山と衿肩空きとの差のこと。男物や子供物にはない。
九州は福岡県久留米市に古くから伝わる伝統工芸品。木綿の絣の代表格である。
通称は留袖。既婚女性の第一礼装である。留袖の語源は、大振・中振・小振袖の袖丈を短くして留める事からきている。黒地に裾模様を付け、染め抜き五つ紋付を付ける。昔は白の羽二重製の下着を重ね着していたが、現代では「比翼」を付け簡素化している。 昭和50年代頃まで、主に関東以北で「江戸妻」(えどづま)と呼ばれていた。
女性用の喪服専用の名古屋または袋名古屋帯。夏冬用両方ともにある。
広義では男女用ともに黒無地に紋の付いた着物や羽織の事。一般的には男性の黒紋付羽織・長着のこと。
け
造り帯、文化帯、付帯とも言う。簡単に着装するための帯。一般的には太鼓の部分と胴の部分を別々に分けて仕立てたものが多いが、最近では切らずに作った軽装帯も出来てきている。
江戸時代頃から福岡藩主が幕府に献上した独鈷模様の、博多の織物のこと。元来、博多地方では礼装用として扱われていたが、本州では扱いが軽い傾向にある。
こ
子供の着物の丈の調整のため、腰の位置に縫い上げをすること。子供は成長が早いので、大きく仕立てて長期間着られるように工夫したもの。子供らしさを表す意味も併せ持つ。
昔、華南の呉の国伝来の織物を漢服(はやはとり)と言ったが、絹織物の総称として今日に至った。現在では和服=呉服となっている。
さ
着物地の代表的な模様の一つ。卍マークを結合させた古典模様。雷文、稲妻形ともいう。紋綸子によく織られている。
晒す(さらす)とは着物の加工で漂白すること。晒木綿は小幅の手織綿布で、古くから知多晒が有名。肌着、幼児寝巻などに使われ、衛生材料としても広く使用。
し
七五三の七才の祝着や、花嫁衣装の着用時に通常の帯とは別に締める物。別名「扱き帯」(しごきおび)とも言う。成人男性及び男児の締める「兵児帯」の別名でもある。語源は普通巾のまま縫わずに扱きながら締めるのでこの名が付いた。
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